

私たちが追究するテーマは、「本物の香りとは何か」ということ。
楽器によって、奏でる音色が変わるように。葡萄によって、ワインのテイストが変わるように。お香はその素材によって感じられるものが変わり、その違いや揺らぎから、尽きることのない楽しみが生まれていきます。
一香一会は、現代では手に入れることさえ難しい稀少な天然香木や精油を一つひとつ集めて、自然が生み出した香りそのものを、お香として表現するための模索を重ねています。“本物との出会い”が、いつか誰かのよろこびにつながることを願って。

天然素材の良さを活かすことで生まれるのは、毎日つづけても飽きのこない、穏やかな香り。一香一会のインセンスは、その穏やかさの奥深くに複雑なニュアンスを含み、日によってさまざまな表情を見せてくれます。
例えば、自然に咲いているローズを表現するとき、花そのものの香りもあれば、茎や葉から匂い立つ、生気あふれる緑の香りもある。
ひとつの自然を香りで表すために、私たちは時間をかけて“調香”をおこない、日常に心地良く馴染んでくれるような、一生ものの香りを見つけ出していきます。

生きもののように、お香も呼吸をしています。ほかの香りを吸いこんだり、自らの香りを外へ発散させたり。それはときに、香りの変質や劣化にもつながります。
お香を焚くとき、一本ごとに新鮮な香りと出会ってほしいという想いから、私たちはインセンスを透明な袋で包み、お香の鮮度を守っています。
トップノートといわれる焚きはじめの香りに、いきいきとした“のび”を感じたら、そのお香のフレッシュさが、今日も保たれている証かもしれません。

1本あたりの長さは60mm。その燃焼時間は、およそ15分。
ショートタイプのインセンスは、忙しい日のさなかにも、自分の好きな香りを“聞く”ひとときを、ルーティンとして手軽に採り入れてもらえたらという想いから生まれました。
限られた時間でも、空間にほど良く香りが広がり、立体的な香りの移ろいを楽しんでもらえるように、細やかにバランスを調えています。

一つひとつのインセンスに異なる天然素材を配合しながら、すべてを「1本60mm・燃焼時間約15分」に揃える。実は、かんたんなことではありません。
時間が揃う、ということは、お香のコンディションが揃っているということ。
品質管理の難しい天然素材と、真摯に向き合ってきた私たちだからこそ、灰のかたちまで美しく、煙の量までちょうど良く、火種の温度やお香のしなやかさまで綿密にコンディショニングされた一本を、今日も届けることができます。


