和文化の中で愛されてきた、藤の花
「藤棚」と呼ばれる木枠に沿って蔓を伸ばし、
初夏、可憐な薄紫の花を咲かせる藤。
元々、衣服や道具の材料として重宝されていた藤が
観賞用の花となったのは、奈良時代から。
『万葉集』に優美な花姿を詠んだ歌が
いくつも収録されていることなどから、
日本人の美的感覚をくすぐる存在だったことが分かります。
加えてマメ科の植物である藤は
「魔を滅する=魔滅」として、魔除けの花とされることも。
「フジ」の音が不死、不二にも通ずることから
縁起のいい植物として愛されてきました。
海外では、
住まいを彩る花として人気
和の花としての印象が強い藤ですが、
海外ではWISTERIA(ウィステリア)と呼ばれ、
特にヨーロッパで人気を集める花でもあります。
イギリスなどでは、藤を外壁に這わせ、
建物を彩るために咲かせる文化もあるのだとか。
社寺の一角や山間など、自然豊かな場所で
ひっそりと花をつける日本の藤。
ヨーロッパで日常を彩る花として、
華やかにその身を咲かせているWISTERIA。
国によって捉え方が異なることを知ると、
藤の花が持つ奥深い魅力が見えてきます。
和と洋の魅力を込めた『WISTERIA』
ICHIKŌ ICHIEでは、藤の二面性に着目し、
和の情緒を大切にしながらも
ひとしずくの洋のエッセンスを加えて、
インセンス『WISTERIA』を調香。
藤の香りとインド産白檀を合わせ、
甘さ・パウダリー感を演出することで
伝統的な佇まいの中に、
現代的な軽やかさも香る仕上がりをめざしました。
香りの中に独自の解釈を描いて、
唯一無二、「不二の香り」を表現した『WISTERIA』。
部屋に広がる香気はどこか郷愁を誘い、
孤独を癒すやさしさを、空間にもたらします。