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香りだけでなく、長さも形も美しく調えるBehind of ICHIKŌ ICHIE #02

香りだけでなく、
長さも形も美しく調える
Behind of ICHIKŌ ICHIE #02

KNOW 2023 NOV. 14

美しく切り分け、美しく並べる

捏ね機で均一に混ざり合い、練り上げられた原料が、素麺のように細くなり、機械から押し出されます。
この時点では、インセンスの原料はたっぷりと水分を含んだ生(なま)の状態。とても柔らかく、扱いには細心の注意が求められます。
機械から押し出されたインセンスのもとを、お盆のような板で受け止め、両端をさっと手際よく切り分けていきます。「盆切り」と呼ばれる工程です。

お盆に載せられた“生”のインセンスは、また別の板へと移し替えられ、美しく整然と並べられていきます。この時、もし隙間が空いてしまうと、乾燥の際に曲がったり、変形したりする原因となるため、繊細に神経を行き渡らせながら、静かに作業を進めていきます。

インセンスのまっすぐ整った形状は、小さな目配り、心配りの積み重ねから生まれていくのです。


端材ひとつにも、宿る想い

お香の長さを整える「胴切り」と呼ばれる工程では、切り取られた端の材料をもう一度捏ね合わせて再利用します。香りの品質の安定を図りながら材料を無駄なく使い切る、ICHIKŌ ICHIEのものづくりの原点です。この時、たとえ同じ種類の香りであっても、違うタイミングで配合された材料と混ぜ合わせることは決してありません。

同じ捏ね機で、同じ時につくられた材料だけを使うことで、香りと品質の安定をはかっています。

無駄を出さず、品質をもしっかり守り抜く。端材ひとつの扱いにも、つくり手たちの想いが宿っています。


100年大切に使われてきた、もみの木の板

生のインセンスを並べる板は、樅(もみ)の木でつくられたもの。樅の木は、杉や檜と比べて木そのものに香りが無く、お香に原料以外の香りが移らないようにという先人たちの知恵から生まれた板です。

よく乾燥させた木の板が、お香の水分をゆっくり吸い込み、少しずつ乾燥が進んでいきます。

この樅の木の板は、いちばん新しいものでも、およそ50年前につくられたもの。中には、80年、100年にわたり使われてきた板もあります。

自然のものを生かし、大事に使っていく。インセンスの原料だけでなく、その周辺にある道具たちにも、自然のちからが息づいています。

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